『借り上げるゾウドットコム』は(株)松堀不動産が運営する地主・オーナー様へ向けた賃貸経営応援サイトです。当社独自の管理プランや、入居対策を実例とともにご紹介いたします。

相続対策とスムーズな承継とは

解説

佐藤 健一(さとう けんいち) 氏

税理士・不動産鑑定士
(税理士法人JPコンサルタンツ)


相続人は誰になるの?法定相続分って?

①配偶者と子

 民法で定められた法定相続分は上記のようになりますが、この割合で分けなければいけない!!というわけではありません実際はどんな割合で分けても問題なく、相続人の自由となっています。例えば配偶者が故人の財産を100%相続することも法律上は問題ありません。法定相続分は遺産分割でトラブルが起きた際、最終的に相続の割合を決める為の根拠となります。

②配偶者と故人の親

 故人と配偶者の間に子供がいない場合、配偶者は故人の父母(義父母)と遺産分割協議をする必要があります。ただ、日本人の平均寿命で亡くなる場合、このようなケースはめったになく、実際に多いのは下記③番のケースとなります。

③配偶者と故人の兄弟姉妹

 近年増えているのが、故人と配偶者の間に子供がおらず、かつ故人の親も他界している上記のようなパターンです。配偶者が財産の3/4(75%)を相続できるので、一見『大体の財産はもらえるな・・・』という印象があるように思います。ですが、たとえどんなに少ない持ち分でも、故人の預金などを引き出す際には兄弟姉妹にひとりひとりに説明をしたうえ、印鑑をもらわなければなりません。このような場合は遺言を書いておくと便利です。

遺言はどうやって残せばいい?

遺言と言うとなんだか身構えてしまいますが、自筆証書遺言はとても簡単な内容となっています。

 上記の体裁を整えた、ごく簡単な書類で遺言としての効力が発生します。親戚同士で仲が良く、『いいよいいよ、わたしたちの(相続分の財産)は譲るから』となるのならいいですが、仲が良くても誰かひとりくらいは権利を主張したりするものです。そんなときに遺言があると収まりやすくなります。また別に公正証書遺言というものもありますが、ここでは取り上げません。

相続人と法定相続分、こんな場合はどうすれば?

①故人は現在の配偶者とは再婚で、前配偶者との間に子供がいる場合

 日本では重婚が認められていないので、したがって前配偶者に相続権はなく、あくまで現在の配偶者のみが相続人となります。しかし子は平等に相続分があるので、たとえ離婚をしていても、子の相続分1/2を平等に分けることになります。
 余談ですが、『一度離婚をしていて前の配偶者との間に子供がいる』ということを、生前配偶者や家族に明かしていたなら何の問題もありませんが、家族に知らせないまま文字通り墓場まで秘密を持っていこうとする方もままいらっしゃるようです・・・。言わずもがなですが、戸籍には必ず記載されます。

②相続人になる人が他界しているが、その子供がいる場合

 故人に子供も親もいない(すでに亡くなっている)とき、相続権は故人の兄弟姉妹に移りますが、すでに兄弟姉妹も他界していることもあります。そういった場合、そこで相続権が止まるのではなく、兄弟姉妹の子供(故人にとっての甥・姪)にうつります。
 上記の例の場合、Aさんには子どもがおらず、両親ともにすでに亡くなっているので、相続人は配偶者とAさんの兄・弟になります。ですが弟さんは亡くなっています。この場合、弟の奥様には相続権はうつりませんが、そのふたりの子供には相続権がうつります。近年こういったケースも増えていますが、この場合、配偶者は甥・姪と遺産分割協議をしなければなりません。
 また、現在では故人に兄弟姉妹が7,8人いることも珍しくはないので、甥姪に相続権が移った場合、法定相続人が2~30人になることもあります。この規模になると手続きだけでも非常に煩雑なので、遺言を遺すことをお勧めします。

遺産の分け方

ここまでのように、遺産の分け方にはいくつか方法があります。

法定相続分
民法で定められている相続分です。
遺言(遺留分)
故人が遺すものです。主に自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
遺産分割協議
相続人同士の話し合いです。相続人全員で行わないと協議は無効となります。たとえば一度分割内容が決まっても、後から故人に前配偶者がいたことが発覚し、その子供にも相続分があった、という場合、相続人全員での話し合いとはみなされないので無効となります。そのため、 スタートの段階でだれが相続人かを確定しておくのが大事です。

優先順位はどのようになるの?

1. 遺産分割協議 ・・・最優先
2. 遺言(遺留分) ・・・協議で結論が出なかった場合、あれば従う
3. 法定相続分 ・・・どうしても結論が出ない場合の法的なよりどころ

 たとえば、2人の息子を持つ父が他界し、生前に『を、預金を相続しなさい』という遺言を遺していたとします。兄弟で話し合う(=遺産分割協議を行う)と、実際には『を、預金を相続したい』という意見で一致しました。この場合、遺言どおりに相続する必要はなく、遺言を放棄して協議の結果を優先させることができます。遺言を書くときに「子どもがそれを望まなかったらどうしよう?」と思われるかもしれませんが、それに厳密に従う必要はないので、少し気軽に考えてみてもよいかもしれません。
 遺産分割協議でまとまらないという場合、遺言があればそれに従います。ただし遺言には限界があり、相続人に「遺留分」があるため、100%遺言どおりに相続させることはできません。極端な例ですが、故人が『すべての財産を愛人に遺贈する』という遺言を遺していたとしても、配偶者や子どもたちは遺留分を主張することができます。兄弟姉妹のだれかに多めの財産を遺す(介護してくれたから…など)ような遺言が相続争いを起こすこともよくあります。協議で結論が出ず、遺言も見つからない(遺していない)という場合は法定相続分での分割となります。

生前贈与とは

 相続が発生すれば、相続税の申告を行うことになります。大概はすんなり申告が受理されますが、まれに『ちょっと財産の内容を確認させてください』という趣旨で税務調査の対象となることがあります。税務調査の際、いちばん問題になるのが「生前贈与」です。節税方法としての生前贈与とは、相続税の基礎控除額を超過する分の財産を生前、前もって相続人に渡すことを指します。

いざというときに使ってほしい・・・というお金であっても、通帳などを子どもに渡しておいた方が税務上は健全です。

ご夫婦でよくあるケース

 たとえば会社員の旦那様と専業主婦の奥様のご夫婦の場合、収入があるのは旦那様だけですが、その財産を家計を預かる奥様の口座に入れていたということもあります。奥様がパートをされている場合などでもよくあるケースかと思います。

 上記の預金は、家計をやりくりして貯めたものだから、奥様の財産と思ってしまいますが、税務上は収入を得ている旦那様の財産と見られ、相続税の課税対象となります。奥様の財産とし、相続税を節税するためには贈与契約書を書いておくことが有効です。

※贈与者と受贈者の筆跡が同じだったり、贈与した事実がない場合は私文書偽造に問われます。

当社ではセミナー以外でも、随時相続のご相談を承っています。ぜひ皆様の声をお寄せください!